アイウェイウェイ・ネヴァーソーリー

アイウェイウェイの作品 天安門の前でパンチラ
アイウェイウェイの作品 天安門の前でパンチラ

アイウェイウェイという中国人の現代美術家についてのドキュメンタリー映画を見てきました。アイウェイウェイは2008年の北京オリンピックの通称「鳥の巣」と呼ばれたメインステージの建築をした人でさぞや国内で大事にされているアーティストなのだろうとおもいきや、大間違い。四川大震災のときの政府の杜撰な手抜き工事で造られた公共施設のせいで(所謂「おから建築」)死者がたくさん出たこと、特に小学校の倒壊によって多くの子供達が犠牲になったことを政府が隠蔽したことに怒りを覚え、犠牲者の子供達全ての名前、年齢、学校名を調べあげリストにして発表しました。そのせいで滞在ホテルに警官が押し入りいきなり殴られる、など国から目をつけられます。しかしアイウェイウェイはそんなことにはめげず政府の神経を逆撫でするような作品を作り続けています。まさに風貌からもわんぱく小僧が嬉々としていたずらをして先生を怒らせるのを楽しんでいる感じです。そして怒っている人のその滑稽な様を炙り出したいのです。それもそのはず彼のお父さんは文化大革命のとき戦った詩人でやはり政府に潰されてしまった芸術家なのです。親子二代の恨みがあるのです。それが話の主軸でもう一つ、私がおもしろいな、と思ったのはアイウェイウェイを取り巻く女達についてです。彼はアーテストでもある16年連れ添った奥様がいるのですが愛人との間に子供も産ませていてそのことをインタビュアーに聞かれると急に歯切れの悪い物言いになるのです。あんなに勇ましくアートについては語っていたのに…。見た目は蘇民祭的なおじさんでもカリスマ性があるのでモテるのでしょう。海外の美術展で「(この展示を)愛人が見に来るよ…」と力なく語る彼を見て奥様と愛人が鉢合わせしないかハラハラしてしまいました。そして終盤、彼は撮影中突然姿を消してしまいます。とうとう政府に拘留されてしまうのです。保釈はされたのですがさすがに力なく、弱っていました。しかしラスト、エンディングロールで『ファック』の意味を中国語で文字った替え歌をおバカに歌う姿が出て来て安心します。そしてこの映画は希望的な側面も描いています。彼の戦う姿に賛同し寄付をしている中国の人たちが写し出されているのです。私は自分が正しいと思ってる信念を貫けば、必ず見ていてくれてる人がいる、ということを感じました。この映画を見れて、本当によかったです。