暫定1位更新

国立近代フィルムセンターで「鬼火」という’56(東宝)の日本の古い映画を見てきました。ざっくりと内容を説明すると加東大介演じるガスの集金係は寝たきりの夫を抱えて困窮する津島恵子演じる女に滞納しているガス代の支払いを待つからと肉体関係を迫る…というものですが、これが見事な映画でした。加東がガス集金係の小悪人ぶりが滲み出た実に俗物的な小市民を巧く演じています。ガスの火や部屋の電灯の影を利用した監督の細かい演出も素晴らしく、白黒フィルムの美しさとあいまってとても印象深い映画でした。ちょっとした発言や態度にその人の本質が出たりすること、人間の醜悪さ、日本の過渡期となる戦後の風景や夏の暑さ、どうしょもなく美しく哀しい女優の貌までもが46分という短い時間のなかに説得力を持って刻み込まれています。そして背筋も凍るラストにびっくりです。ゴジラのテーマソングでおなじみの伊福部昭の音楽がこれから何かいやな事が起きそうな、不穏な空気を盛り立てます。この作品は東宝の「ダイヤモンドシリーズ」と銘打った低予算でもメインのシリーズに劣らないスタッフ、キャストを揃えたシリーズとのことです。監督の千葉泰樹はもっと評価されてもよい監督だと思います。この作品はDVD化もされてないので見るチャンスは少ないかもしれませんが本当に見る価値のある作品だと思います。

 

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コメント: 1
  • #1

    なもはん (木曜日, 21 11月 2013 14:39)

    いつもブログ楽しく拝見しております。映画と絵に対する愛情が伝わってきます。映画、見てみたいです。イラストも素晴らしいです!頑張って下さい!!